今は昔・・・その物語、かの物語。

昔の人から聞いた話をメモ書きするページ

子ウサギのお話

能家のTおばあちゃんの旦那さんは、もう他界されて7年ほど経つのですが、そのおじいちゃんが50か60歳の頃の思い出。

おじいちゃんがいつものように山に入って、杉の手入れなどの作業をしていると、なんともかわいい子ウサギが足もとにちょこんと。手のひらに乗るぐらいに小さくて、親ウサギも見あたりません。このままやと死んでまう、ということで、作業着の胸ポケットにしのばせて帰ってきたそうな。

子ウサギは、牛乳や猫のエサなど何でも食べ、おしっこも猫と同じようにしつけられ、たちまちおじいちゃんによくなつきました。

おじいちゃんはもともと動物の世話好きで、よく畳の上に寝ころんでは子ウサギをあやしていました。

夜は、おじいちゃんの胸の上に子ウサギが乗って一緒にすやすや眠り、おじいちゃんの呼吸の上下に合わせて、子ウサギも揺れました。

ある日、子ウサギを家の中で放していた折に、前の道を大きなトラックが通り、ゴトゴト大きな音を立てました。

その音にびっくりしたのか、子ウサギは突然開いていたドアから飛び出してしまい、どこかに駆けていってしまいました。

家の皆が残念がり探し回りましたが、二度と戻ってくることはなかったそうです。

まさるさんとヤマネ

地蔵谷の入口に農機具小屋があります。まさるさんが昔自分で建てた小屋です。

「あのさァ、ヤマネがよ」

まさるさんの昔語りが始まると、つい道路の真ん中でも車を停めたまま話に夢中になってしまうのです。

ある日、小屋で作業をしていると、ヤマネがしょこしょこっと出てきて、走り回ったのです。一見ネズミのような、でもよく見るとまるこくて背中にシュッと黒い線がある、かわいいやつです。

ヤマネはまさるさんの作業服の懐に入り込んでしまって、まさるさんの服の中をしばらくごそごそしていたんだってさ。

 

今は滅多にヤマネなんて見られないけど、昔はこうして人前に出てきて、人と動物の素朴であったかいふれあいがあったんだなァ。